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与信管理の知恵袋 Vol.19 与信管理におけるモニタリング(常時信用変動の調査)の重要性と6つのモニタリング項目

モニタリングツール

こんにちは。MCC与信管理ラボ編集部です。

与信審査・与信判断を行って取引限度額を設定した後、次回の限度額更新までの間、取引先企業や業界、競合他社動向を注視することが大変重要です。

今回は、与信限度額の管理、期中管理、モニタリング(常時信用変動の調査)の重要性や具体的なチェック項目を解説します。

この記事で分かること

・与信限度額の管理とは
・与信限度額の順守だけでは不十分な理由
・与信管理における期中管理とは
・与信管理におけるモニタリングとは
・与信管理におけるモニタリングで確認するべき6つの項目(具体例)

与信限度額の管理とは

与信管理において、販売先である企業やその他の団体との債権残高を取引限度額以下に維持しておくことは、最も基本とするべきことの一つです。

これは、限度額のみに注目した与信管理の手法とも理解できることから、限度額管理と呼ばれています。

与信管理を行う上で、与信限度額の順守だけでは不十分な理由

与信限度額を遵守するということは、①貸倒れにともなう損失を限定的にするという観点、②社内ルールを順守しているという観点で有意義といえます。

しかし、これだけでは急激な取引先企業の経営悪化や信用レベル低下に対応できません。

貸倒れによる損失の上限は与信限度額に限定されるものの、場合によっては与信限度額に近い水準で貸倒れ損失を被る危険性が高くなります。

また、以下の場合には、貸倒れの発生により自社が被る損失が大きくなる危険性があります。

・与信限度額が比較的高い先(与信審査を行った際に、信用力が高い企業と判断された先)の経営状態や信用レベルが急激に悪化した場合
・商売の拡大等を目的として、取引先の信用力から見た適正水準よりも大きい与信限度額(与信枠)を設定した場合


したがって、与信限度額の管理だけを行うのではなく、取引先企業の変化に対して積極的に情報収集や分析を行うことで、貸倒れリスクや損失の低減につとめることが重要となります。

与信管理における期中管理とは

新規取引時に与信枠(与信限度額)や信用レベル等を設定した後や、既存取引先の見直しを行った後に、再度見直しをする時までに行う与信管理を期中管理と呼びます。

期中管理の中には設定された与信限度額がオーバーしないかチェックするということも含まれますので、与信限度額の管理も期中管理の一部と言えます。

期中管理の主な目的は、再度の見直しを行うまでに取引先企業の経営状況や信用レベルが急激に悪化していないかを監視することです。

与信管理を行う上で、債権残高の限度額超過以外にも注視しておかなければならないことがあります。

与信管理におけるモニタリングとは

辞書等で「モニタリング」を調べると、「監視すること。観察し、記録すること。(大辞泉)」と定義されています。

与信管理におけるモニタリングとは、まさしく取引先を日々監視、観察しその記録を残す業務と言えます。

常時信用変動の調査を行うことは、取引先企業の経営状況や信用レベル悪化の早期把握につながります。

ただ、一口にモニタリングと言っても何をモニタリングすれば良いのか悩まれる方々も多くいらっしゃいます。

そこで、以下にモニタリングするべき項目の一例を解説します。

与信管理にけるモニタリング(常時信用変動の調査)でチェックする項目(具体例)

モニタリング項目1:入金(支払)が期日通りとなっているか

取引先企業から定められた期日通りに入金がされているかを確認し、入金が遅れている場合は直ぐに入金の催促・督促を行い、その背景を確認します。

これは、入金の遅れは取引先企業が資金繰りに何らかの支障をきたしている可能性が疑われるためです。

もちろん取引先担当者のケアレスミスによる数日の遅れなど大事に至らないケースもあります。

ただし、後日の入金があることを過信し、入金の遅れの常態化を受け入れてしまうと、本当に取引先企業の資金繰りに問題があった際、危険なサインを見逃してしまうリスクがあります。

また、数日と言っても入金遅れを繰り返す先は内部の管理体制になんらかの問題を抱えている可能性があることを見落としてはいけません。

さらに、取引先企業の経営状況が悪化している場合は、債権保全・債権回収などの対応策を検討しなければなりません。

モニタリング項目2:債権残高の異常な増加がないか

取引先企業と通常行われている取引に何らかの変化があり、債権残高が異常に増加することがあります。

債権残高が増加した後であっても既定の与信限度額を下回っている場合は、社内業務プロセスにおいては何らチェックを受けることがないため、特に注意が必要です。

もちろん、営業活動が好調な結果としての債権残高の増加は喜ばしいことです。

ここで大切なことは、債権残高が増えた要因とその背景を確認する事です。債権残高が増加する要因は主に、①販売単価の上昇、②販売量の増加、③与信期間(回収サイト)の延長のいずれか、もしくはそれらの組み合わせとなります

①販売単価の上昇



まず、①販売単価の上昇は市況・相場の変動等による外部要因のケースが多く、値上げの結果が取引先の業績に多大な悪影響をもたらさなければ、大きな問題にはならないと考えられます。

②販売量の増加



②販売量の増加は、注意したい点が2つあります。1つは競合他社の撤退を疑うということです。

これは、競合他社が信用不安情報を先に入手し、取引量を減らした結果として、自社の取引増につながっている可能性がある為です。

2つめは、取引先が民事再生の法的手続きを申し立てる計画をしていないかという点です。

民事再生の詳細は割愛しますが、再生手続開始前の原因に基づく再生債権(本件に関連して簡潔に言うと、民事再生の前に仕入れたモノの支払代金)は大幅に減額されることが一般的です。

つまり、事業再生を有利に進めるための資産を積み上げる目的で、大量に発注を行い支払日直前に民事再生申立てを行うというものです。

実際そのように疑われる事例も発生していることから、注意が必要になります。

③与信期間(回収サイト)の延長



③与信期間(回収サイト)の延長は、例えば、支払いの条件を特段の理由なく、月末締め翌月末払いから、月末締め翌々月末払いに延長するという事です。

当然、単価や販売量に変化はないものの、債権残高は増加することになります。

合理的な理由に基づいたものであるなら問題はないのですが、取引先企業が資金繰りに困難をきたしている場合も多いため、背景や理由を調査する必要があります。

取引先企業の経営状況が悪化している場合は、債権保全・債権回収などの対応策を検討しなければなりません。

モニタリング項目3:外部評価が低下していないか

当社のような与信・債権管理サービスを提供する会社をはじめとして、企業の信用レベルを判断する外部指標は各社独自の観点から評価を行っています。

与信管理を行う上で、自社とは異なる目線での評価の変動を日常的に確認することは、自社の見落とし等を防ぐ効果が考えられます。

モニタリング項目4:経営幹部の動向(キーマンの突然の退職等)

取引先企業の中でキーマンとなる様な、例えば営業部門や経理部門の役員等が突然退職することは与信管理の上で注意が必要です。

特に中小企業においては顕著ですが、特定の人物が大黒柱となり経営を支えていることがあります。

例えば、重要顧客を多数抱えている営業役員や資金繰りに辣腕を発揮する経理役員等が挙げられ、企業経営に大きな影響を与えかねません。

当人の健康問題や家庭の事情等のプライバシーにも関わることであるため、その理由を調査することは難しいことですが、円満な退職でない場合は経営上の何らかの重大な問題が発生した可能性があります。

モニタリング項目5:背景が不明なメイン、準メインバンク(主要取引銀行)の変更

一般に、メインまたは準メインの金融機関(銀行等)を変更することは稀です。

昨今は金融機関同士の競争も熾烈ですが、それでもメイン、準メインの変更は頻繁に起こることではありません。

メイン、準メインの変更された理由を確認することは難しいことではありますし、必ずしも経営不振が背景とも言い切れません。

しかし、自社だけが倒産兆候を見逃さないよう、モニタリングをしたい項目です。

モニタリング項目6:不良債権・回収不能債権の発生状況

取引先企業の販売先が倒産した場合、取引先がなんらかのリスクヘッジをしていなければ売上債権(売掛金・受取手形等)を回収することは大変困難です。

この時、取引先は貸倒れ損失を被ると同時に倒産先から見込んでいた入金分の資金調達も行わなければなりません。

仮に、資金調達がうまくできなければ取引先自身も倒産することがあり得ます(この事象を連鎖倒産と言います)。

そのため、自社の取引先が経営不振企業と大きな取引をしていないか、不良債権・回収不能債権が発生していないか、与信調査・情報収取を行うことが重要です。

おわりに

今回は、与信管理におけるモニタリングの重要性と、確認するべき6つの項目を解説しました。

ご紹介した項目はあくまで一例であり、モニタリングするべき項目は他にもいくつかございます。

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