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与信管理の知恵袋 Vol.21 取り込み詐欺を防ぐための与信管理

商談を行う取引先の担当者

こんにちは。MCC与信管理ラボ編集部です。

取り込み詐欺という言葉は耳にする機会が減ってきたかも知れません。

しかし、取り込み詐欺とみられる被害は近年でも発生しています。

企業間取引を行う際、取り込み詐欺の防止には与信管理の徹底が非常に有効です。

今回は、BtoB取引でよく見られる取り込み詐欺の手口やその被害にあわない為の与信管理方法を具体的にご説明します。

この記事で分かること

・取り込み詐欺とは?
・取り込み詐欺の手口とは?
・取り込み詐欺を防ぐ与信管理のチェックポイント

取り込み詐欺とは

取り込み詐欺とは、商品を注文し受け取るものの、代金支払いは売掛金や受取手形のような後払いにしておき、支払期日が到来しても代金支払いを行わず、その商品を搾取することです。

本質的には非常に単純な詐欺のやり方ではあるのですが、そのやり口は巧妙です。

取り込み詐欺を行う方もそれなりに準備を行い少額の商品ではなく多額の商品を搾取しようとするため、被害の金額は大きくなる傾向があります。

取り込み詐欺の手口

取り込み詐欺の手口1:少額・小口の取引

取り込み詐欺を行う側は、まず少額・小口の取引を持ち掛けてきます。当然、新規取引先となるので販売する側は慎重になっています。

初期の対応としては、少額の与信限度額(与信枠)で決済期間も非常に短くする、もしくは前金払い等で与信取引を認めないとすることが多いと思われます。

取り込み詐欺を行う側はそうなることを承知の上で取引開始後は、条件通りにきちんと支払いを行います。

取り込み詐欺の手口2:企業の実態があるかのように見せかける

また、休眠していた会社を買収したり事務所を構えるなどしていかにも実態があるように装います。 

取り込み詐欺の手口3:急に大口の取引をもちかける

取引実績を積み重ね信用が得られた後、大口の与信取引を求めてきます。その時、大口取引の理由についても、「昔から攻めていた優良顧客から急に大きな商談が舞い込んできた。」等のもっともらしい理由を説明してきます。

販売する側の営業担当者も自分の売上目標達成が厳しいようなら、多少おかしな点があっても目をつぶってしまうようなことが起こりえます。

なお、取り込み詐欺を行う側はそもそも支払いを行うつもりが無いため、こういった際に価格交渉よりも納期について急かせる傾向があります。

加えて、搾取した商品を転売しやすくするため特殊な商品よりも汎用的な商品を大量に発注する傾向があります。

この後、取引交渉が成立し納品を行ったとしても、予定されていた売掛金や受取手形の決済期日に支払いがなされることはありません。

事務所は、もぬけの殻になっていて、代表者や担当者とも連絡がつかない状況になっています。

被害企業は、このような事態になって初めて取り込み詐欺被害にあったことを認識するものの、債権の回収については、ほとんど望みは無い状況と言えます。

このような事態にならないためには、取り込み詐欺を防ぐための与信管理を行っておく必要があります。

取り込み詐欺を防ぐ与信管理のチェックポイント

取り込み詐欺を防ぐための与信管理のチェックポイントについてご紹介します。

チェックポイント1:新規商談の経路

新たな商談が持ち込まれた際、与信判断を行う前にどのような経緯や背景によって自社にその商談が持ち込まれたのかをよく確認しましょう。

あらゆる商品やサービスが氾濫し、競合他社としのぎを削る競争環境において、自社が選ばれた理由が不自然であれば、取り込み詐欺の可能性を疑ってみた方が良いかもしれません。

チェックポイント2:商業登記

与信調査・審査の際、取引先企業の登記情報を取得します。

商業・法人登記については、法務局のウェブサイトをご参照下さい。

登記された会社の情報は履歴事項証明書を取得することで、内容を確認することができます。

以下では、与信調査において履歴事項証明書のどのような点に注意するべきかご紹介します。

履歴事項証明書のチェック項目①:役員に関する事項

取り込み詐欺を行おうとしている会社は、長期的な活動を前提としていません。

また、信用を得るために業歴の長い会社や休眠している会社を買収したり乗っ取ったりすることもあります。

その際、会社を自分たちの支配下に置くため、代表者や役員の全部または大半を詐欺グループのメンバーで占める様にします。よって、特定の時期に集中して代表者や役員が一斉に交代する登記が行われています。

もちろん、正常な企業であっても代表者や役員が大幅に交代することはあり得ます。

しかし、特に中小企業の場合は、代表者や役員が経営の重要な部分を担っており、大幅に交代することはめったに起きることではありません。

そのため、代表者や役員が大幅に交代したり頻繁に交代したりしている場合は、その理由や背景について納得のできるものであるのか確認する必要があります。

履歴事項証明書のチェック項目②:目的

商業登記には会社の目的を記載する欄があります。

これは、その会社がどのような業務や仕事を行っているかを表示しているものになります。

この目的に記載されている内容が、あまりにも範囲が広くまた各々に関連性が無い場合は、注意が必要です。

取り込み詐欺を行おうとする会社は、あらゆる商品を取り込もうとする意図があり、どのような商品であっても目的と矛盾しない様、関連性のない色々な目的を記載する傾向があるようです。

履歴事項証明書のチェック項目③:本店(住所)と閉鎖登記

商業登記に記載されている取引先企業の本店が移転している場合には、注意が必要です。

ただし、移転先住所が同じ登記所の管轄する区域内であれば、問題視する必要はありません。

注意が必要となるのは、管轄区域を超えて移転を行った場合です。登記所の管轄区域を超えた移転を行うと、以前の本店住所の商業登記は閉鎖されます。

一方で、新たな本店住所での商業登記には以前の住所で行っていた役員に関する事項、目的などの変更の履歴は移行されません。

そのため、取り込み詐欺を行おうとする会社は疑われるような商業登記の変更履歴を隠すため、以前の住所で様々な変更を行った後に登記所の管轄を超える移転をして、商業登記の内容をよく見せようとします。

そのため、移転前の商業登記がどのようになっていたかを確かめる必要があります。

移転前の閉鎖された登記を確認できるのが閉鎖事項証明書です。

閉鎖事項証明書から、取り込み詐欺と疑われる様な事象が無いか確認しましょう。

なお当然のことですが、本店移転があったからと言って全てが取り込み詐欺ではありません。

そのほとんどは、真面目にビジネスを行っている企業です。

しかし、そのような中に取り込み詐欺のような会社がまぎれこむと見落としてしまうこともあり得るので、注意して信用情報を整理することが必要となります。

チェックポイント3:従業員

取引先企業の従業員の対応に不審な点を感じるようであれば、注意が必要です。

たとえば、従業員が扱っている商品に関してほとんど知識が無いような場合です。

取り込み詐欺は当然ながら長期的に健全なビジネスを運営している訳ではないので、その従業員も商品に関する知識が浅くなってしまいます。

他にも、こちらから電話をかけた際、相手の従業員が出た際に社名を名乗らない様な場合です。

色々な社名を使って取り込み詐欺を行っているケースで、このような対応を行っているものと考えられます。

取引先企業の従業員に不審な点がある場合、営業担当者はすぐに与信管理担当者に情報を共有することが大切です。

チェックポイント4:ウェブサイト

最近では、多くの企業が自社のウェブサイトを作成するようになりました。

それに伴い、取り込み詐欺を行う場合も相手の信用を得るために自社のウェブサイトを作成するようになっています。

ただし、そのホームページも長期的に運用するつもりが無いため、きちんと作りこまれていない場合があります。

例えば、会社の沿革が聞いていた話と食い違っている、ビジネスの中心となるべき商品ページがほとんどない又は作成中である、全体的に統一感がなく画像も適当に使用している等です。

おわりに

上記で説明した与信管理におけるチェック項目は、それぞれ大切なポイントです。

ただ、どれか一つに該当したからといって、その取引先企業が取り込み詐欺と断定できるものではなく、複数の項目と組みわせて総合的に判断をすることが重要です。

取り込み詐欺は頻繁に起こるものではありませんが、万が一被害にあうと多額の損失が発生しますし、社内の営業部門の士気にも悪影響を与えます。

取り込み詐欺の被害にあわないよう、本記事を参照頂き社内ルールや与信管理体制の見直しを行われてみてはいかがでしょうか。

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