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決算書だけでは見えない倒産兆候。取引先の変化を捉える7つの視点

取引先の与信管理を行ううえで、倒産リスクをできるだけ早く察知したいと考えるのは当然のことです。
その際、まず確認するのが決算書などの財務情報でしょう。もちろん財務分析は重要です。しかし、決算書だけで取引先の足元の状況をすべて把握できるわけではありません。

企業の信用状態に変化が生じると、数字だけでなく、経営者の様子、従業員、仕入、在庫、取引条件、支払いなど、日々の企業活動にも変化が現れることがあります。
そこで大切になるのが、倒産しそうな会社を探すのではなく、普段との違いに気づくという考え方です。

今回は、取引先の変化を早期に捉えるために確認しておきたいポイントを、実務の視点から整理します。

1.大切なのは良い・悪いよりも、普段との違い

例えば、経営者となかなか連絡が取れないという事実だけで、企業の経営状態が悪いとは判断できません。
もともと外出の多い経営者かもしれませんし、新規案件への対応で一時的に忙しくなっている可能性もあります。

一方で、これまで頻繁に連絡を取れていた経営者が、最近になって急に不在がちになったのであれば、確認しておきたい変化です。
重要なのは、現在の状態を絶対的に評価することではありません。その会社の平常時を基準に、以前と比べて何が変わったのかを見ることです。

取引先の平常時を知らなければ、変化にも気づけません。日頃から取引先との接点を持ち、経営者や担当者、事業の状況を把握しておくことが、変化を察知するための土台になります。

2.取引先の変化を見る7つの視点

取引先の状況は、一つの情報だけで判断するのではなく、複数の角度から見ることが大切です。

大切なのは、その変化がなぜ起きたのかを確認することです。

3.意外と見落としやすい仕入先と在庫の変化

例えば、長年同じ仕入先から商品を購入していた企業が、突然主要な仕入先を変更した場合を考えてみましょう。単なる価格交渉や調達戦略の変更かもしれません。

一方で、従来の仕入先がその企業に対する取引方針や与信方針を変更し、納入量を減らしている可能性もあります。企業と日常的に取引している仕入先だからこそ、信用状態の変化を早く察知している場合があります。

同じように、在庫にも注意が必要です。
在庫が急増していれば、商品が思うように売れていない可能性があります。反対に急減していれば、仕入や生産が十分にできていない可能性もあります。

そのため、在庫を見る場合には、単純に多いか少ないかだけでなく、売上や生産状況とのバランスが以前と変わっていないかを確認することが重要です。

4.支払いが遅れてからではなく、その前の変化を見る

支払遅延は、資金繰り悪化を把握するうえで分かりやすいサインです。
しかし、早い段階で変化を捉えるのであれば、実際に支払いが遅れたかどうかだけを見るのでは十分ではありません。

例えば、これまで月末締め翌月末払いだった取引先から、今後は支払期間をもう少し長くしてほしいという相談があった場合です。
まだ支払遅延は発生していません。

それでも、これまでにはなかった支払条件の変更要請であれば、その背景を確認する価値があります。
ほかにも、支払日が安定しなくなった、振込銀行が変わった、支払方法の変更を求められたといった動きも、平常時との違いとして確認しておきたいポイントです。

5.一つの兆候で判断せず、変化の重なりを見る

ここで、架空のケースを考えてみます。

ある取引先で、長年窓口だった経理責任者が突然退職しました。それだけなら、単なる転職かもしれません。ところが、その後営業担当者が訪問すると、以前より在庫が増えていることに気づきました。さらに翌月には、支払サイトを延長してほしいという依頼がありました。

この場合、キーパーソンの退職、在庫の増加、支払条件の変更と、異なる種類の変化が続いています。一つひとつには合理的な理由があるかもしれません。
だからこそ、すぐに危険な企業と決めつけるのではなく、複数の変化が重なった段階で警戒度を一段上げ、背景を確認することが重要です。

与信管理では、チェックリストの該当数だけで機械的に判断するのではなく、それぞれの変化がどのようにつながっているのかを見る必要があります。

6.普段の状態を知る仕組みをつくる

取引先の変化を察知するためには、普段の状態を知っておかなければなりません。その情報を与信管理部門だけで集める必要もありません。

顧客との接点が多い営業担当者は、経営者の様子や現場の雰囲気といった定性的な変化に気づきやすい立場にいます。一方、企業情報やニュース、財務情報などから把握できる客観的な変化もあります。

こうした情報をそれぞれの担当者が個別に持つのではなく、以前と比べて何か変わっていないかという視点で社内に集めていくことが重要です。
日常的な情報収集と定期的な与信見直しを組み合わせることで、決算書だけでは捉えにくい変化にも気づきやすくなります。

7.気になる変化を見つけたら、まず理由を確認する

倒産兆候のチェックは、怪しい企業を見つけるためのものではありません。変化に早く気づき、必要な確認を早く始めるためのものです。経営者の不在、キーパーソンの退職、仕入先変更、在庫増加、銀行変更、支払条件変更。こうした事象には、それぞれ正常な理由がある場合もあります。

そのため、まず変化を捉え、背景を確認し、必要に応じて与信方針を見直す。この流れを早めに始めることが重要です。問題が明らかになってから慌てて対応するのではなく、小さな変化の段階から情報を確認できる状態をつくっておくことが、安定した与信管理につながります。

おわりに。取引先の変化に気づける与信管理へ

取引先の数が増えるほど、すべての企業について日々の小さな変化を人の目だけで追い続けることは難しくなります。
だからこそ、営業担当者などが持つ現場情報に加えて、財務情報や企業情報、ニュースなどを継続的に確認できる仕組みを組み合わせることが有効です。

弊社のSMART与信管理サービスでは、財務情報や企業動向などを活用した取引先管理を支援しています。また、新規取引時や定期的な見直しでは、ComCheckを活用して企業の信用状態やコンプライアンスリスクを確認することもできます。

倒産を事前に正確に予測することは簡単ではありません。
一方で、取引先の普段の状態を把握しておけば、そこから生じた変化を早い段階で捉えられる可能性は高まります。

まずは主要な取引先について、普段の状態を自社がどこまで把握できているか。一度確認してみるところから始めてみてはいかがでしょうか。

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