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【今さら聞けない】担保の基本を徹底解説!人的担保と物的担保の違いとは?

ビジネスや金融の現場で必ずと言っていいほど登場する「担保」。
銀行融資や取引契約に関わる人なら、一度は耳にしたことがあるはずです。しかし、その仕組みや種類を正確に理解している人は意外に少なく、誤解されたまま使われることもあります。

今回は「担保とはそもそも何か?」から始めて、実務で多く使われる人的担保と物的担保の基本的な特徴やメリット・デメリットを整理してみましょう。

そもそも「担保」とは?

担保とは、債務者が約束通り返済できなくなったときに備えて、債権者が回収を安全に行えるようにする手段のことです。
いわば「返済の保険」、あるいは「貸す側の安心材料」とも言えるでしょう。

担保の大分類:人的担保と物的担保
担保は大きく分けると、次の2種類があります。

図解1:担保の全体像

       担保  
 ┌────────────┐  
 │            │  
人的担保         物的担保  
 │            │  
保証人       資産(不動産・動産など)  

 

① 人的担保:人の信用で保証する
人的担保とは、第三者(保証人)が債務者の返済を肩代わりする仕組みです。

●保証:最も一般的な人的担保。
 ○連帯保証:主たる債務者と同じレベルで責任を負う。銀行融資などではほぼ必須。
 ○単純保証:保証人には「まず本人に請求してください」と主張できる抗弁権がある。実務ではあまり使われない。

図解2:人的担保の関係図

債権者(お金を貸す側)
         ↑
         │ 請求
         ↓
主債務者(お金を借りる側) ←→ 連帯保証人(代わりに返す責任あり)
                                 ↑
                                 │
                         単純保証人(先に本人へ請求してほしい)

 

●経営者保証:中小企業融資で多い。代表者が会社債務に対して個人で保証を行う形。
→ 経営者本人の生活や再挑戦を阻害する要因として課題視されており、金融庁は「経営者保証に依存しない融資」への転換を推奨しています。

📌 実務のポイント
●保証人になることは大きなリスクを伴うため、近年は「保証人を立てずに融資を受けられる制度」も拡充しています。
●融資を受ける側としては「経営改善計画を明示」しておくなど、金融機関に対して経営の信頼性を示す努力が重要です。

② 物的担保:資産の価値で保証する

物的担保は、不動産や動産、売掛債権など具体的な資産を裏付けにとる仕組みです。
返済不能時には担保権者が優先的に回収できるため、債権回収の実効力が高い点が特徴です。

代表的な物的担保は次の通りです:

担保の種類 説明 身近な例
抵当権 主に不動産を対象。担保を設定しても利用は継続可能 住宅ローン
質権 主に預金通帳や株式を対象。担保物を債権者が占有する点が特徴 質屋に品物を預けるイメージ
譲渡担保 在庫や売掛債権、車両・機械などに設定。処分権をもつのは債権者だが、債務者が継続的に利用可 会社の在庫を担保に借入

 

図解3:物的担保のイメージ

不動産(家や土地)
   ↓
抵当権(担保設定) → 所有権は債務者に残り住み続けられる

預金・株式
   ↓
質権(質物として預ける) → 債権者が管理し売却等可能

在庫・売掛債権
   ↓
譲渡担保(所有権一時移転) → 債権者が所有権を持つが利用は続けられる

 

📌 実務のポイント
●担保価値の評価が重要。不動産は鑑定評価が基準になるが、売掛債権や在庫は信用調査や市場性も考慮される。
●資産の種類によっては「担保設定コスト」や「流動性リスク」が異なるため、実務では担保の組み合わせが多い。

人的担保と物的担保はどちらが有利?

●債権者(貸す側)から見れば
物的担保は回収の実効性が高く安心。人的担保は保証人の資力が重要なので、慎重に判断される。

●債務者(借りる側)から見れば
物的担保は資産を拘束されるリスクがある。人的担保は個人の責任が重いため人間関係に影響するリスクが大きい。

→ 実務では、両者を組み合わせて融資条件を組むことが一般的です。

まとめ

担保は「万一の事態に備えた安全装置」であり、人的担保は「人の信用力」、物的担保は「資産の価値」でローンや取引を支える仕組みです。
どちらが優れているというより、状況に応じて適切に選択・組み合わせることが重要です。

次回は「どの資産が担保として有効か?」という実務的な論点を掘り下げていきます。

 

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