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与信管理の知恵袋 Vol.4 営業担当者が与信管理の観点から確認すべき6つのポイント

与信管理を行う営業担当者

こんにちは、MCC与信管理ラボ編集部です。

今回は、営業担当者にぜひ行ってほしい与信管理業務についてお話します。

社内の与信管理業務の担当者が信用調書や決算書を調査・分析するだけでは、与信管理は完結しません。 与信管理業務には、営業担当者でなければできない重要な業務が多くあります。

現場を知る営業担当者に与信管理の観点から必ず行ってほしいこと。
それは・・・

「調査レポートやウェブ上の情報では得ることのできない、取引先企業の生の情報(一次情報)を入手すること」

です。具体的なチェックポイント(6つ)は以下の通りです。

  • ポイント1 経営者(社長)の資質・能力の見極め
  • ポイント2 社内の雰囲気
  • ポイント3 在庫の状況
  • ポイント4 他納入業者(競合会社)の動き
  • ポイント5 金融機関との関係
  • ポイント6 弁護士等の出入り


それでは、1つずつ詳しく解説していきます。

チェックポイント1:経営者(社長)の資質・能力の見極め

会社経営は当然ながら、その代表者の資質や能力に依存します。
特に、中小企業など企業規模が小さいと、経営者の資質・能力が経営状況を大きく左右します。

ただ、そうは言っても、経営者の資質や能力において絶対的な正解はありませんし、さまざまなタイプの経営者の方が健全に会社運営を行っています。

一方で、会社を倒産させてしまう経営者の特徴というものもあり、一般的には以下のような点があげられます。

  • 経営において重要となる自社の指標や数値を把握していない。
  • 全く周辺の意見を聞き入れようとしない。
  • 政治活動等の本業以外の活動に入れ込み過ぎている。
  • ビジョンや経営方針に一貫性が無い。
  • 異性問題が多く、家庭内が落ち着いていない。

このような点が無いか営業担当者は確認し、当てはまる事柄があれば与信審査担当者へ報告しましょう。

チェックポイント2:社内の雰囲気

経営状態が悪くなると、その結果が数字として決算書に表れてくることになります。

しかし、決算書が作成されるまで待っていては手遅れになる場合もあります。

経営状況の悪化は、取引先企業の社内の雰囲気にも影響を与えます。
そういった会社に見られがちな点の一例は、以下の通りです。

  • 従業員との会話で会社に対する不満や愚痴が多くなった。
  • 昔からよく知っていた従業員が次々に辞めている。新しい従業員が急に増えた。
  • 社内の意思疎通がうまく行われていない。
  • 事務所や倉庫が整理整頓されていない。
  • 掃除が十分に行われていない。

すぐに解ることではないかもしれませんので、定期的に取引先企業への訪問を行い、注意深く観察することが重要です。

チェックポイント3:在庫の状況

取引先企業の倉庫や事務所に在庫が積み上げられている場合は、それらが不良在庫になっていないかを確認しなければなりません。

不良在庫とは、長期間売れずに在庫として残っており、今後も予定していた価格で販売できる見込みがない在庫のことを指します。

不良在庫は取引先企業の販売不振や棚卸資産の毀損につながるため、見過ごすことができません。

ただし、商品の価値や今後の転売可能性は、社内に在席していることの多い与信審査業務担当者には評価できないケースが多くあります。

そこで、営業担当者が積みあがっている在庫について、在庫の価値や今後の転売見込みを評価し、与信審査業務担当に伝えることが重要です。

そうすることで、与信・審査業務担当は取引先企業の実態を正確に把握した上で与信管理を行うことが可能となります。

チェックポイント4:他納入業者(競合会社)の動き

営業現場では、当然、他の納入業者は競合会社となりますので、直接彼らから有益な情報を教えてもらうということは困難です。

しかし、取引先企業訪問の際に実際の荷動きを観察し、取引先の担当者との雑談の中で競合会社の訪問頻度、見積りの出し方(価格、条件等)を聞き出すことは可能です。

そこで注目してほしいのは、競合が価格の引き上げや、与信期間(回収サイト)の短期化等を行うことで、取引先企業とのビジネスを急に縮小させているようなケースです。

このような場合、競合会社は取引先企業の信用不安情報を独自に入手した結果として、与信限度額(与信枠)の縮小を行った可能性があります。

そうした後に、自社の取引量が増えたとしても、大きな貸倒リスクを抱えてしまう危険性があります。

チェックポイント5:金融機関との関係

会社が倒産しないために、資金繰りは最重要課題と言えるかもしれません。
そのため、特に中小企業においては銀行を中心とした金融機関との関係が非常に重要になります。

特に、取引銀行の中で最大額の融資を受け、その他の取引でも密接な付き合いをしているメインバンクとの関係性は、企業の信用レベルを大きく左右します。

メインバンクの存在は大企業を中心にその影響力は低くなってきてはいるものの、中小企業の中では相応の存在感を保っています。

取引先企業の経営者や経理部長が、今まで付き合いのなかった金融機関の関係者と頻繁に接点を持っているようであれば、その要因や背景を確認する必要があります。

チェックポイント6:弁護士等の出入り

会社経営が行き詰まり、どうしようもなくなると、多くの場合企業の経営者は破産や民事再生の法的倒産措置を検討するようになります。

破産や民事再生の詳細についてはここでは触れませんが、いずれにしても裁判所に対して申請を行う法的な手続きであり、経営者の思いつきですぐに申請できるものではありません。

まず、現状の資産、負債状況の詳細確認が必要となります。

加えて、民事再生によって今後も経営を継続するつもりであるなら、その計画も作成しなければなりません。

経営者の多くは、従業員へ余計な不安を与えないために極秘でこれらの準備を行いますが、特に中小企業においては、弁護士等による専門家の支援無しでは対応できるものではありません。

そのため、取引先企業の本社に訪問した際などに弁護士バッジをつけている人物の出入りを頻繁に見かけるようになったならば、その背景について確認を行うことが肝要です。

また、取引先企業が倒産手続きを進めていると判明した場合、債権の圧縮、債権保全や債権回収などを検討する必要があります。

おわりに

いかがでしたでしょうか。
営業担当者は、日常的に取引先企業に訪問しているため、警戒感を持たれにくい存在です。
よって、他の人では得られない情報を入手できる可能性が高く、その情報が貸倒れリスク回避の決定的な役割を果たすこともあります。

営業担当の皆様におかれては、本記事を参考に、与信管理業務の一翼を担って頂きたいと思います。

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