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与信管理の知恵袋 Vol.30 与信管理をしっかり対応した時の意外な効果

こんにちは。MCC与信管理ラボ編集部です。

与信管理は、売上債権(売掛金・受取手形等)の貸倒れリスクを軽減し、仕入先や外注先を管理する上で大変重要な業務です。

一方で、与信管理業務は営業部門や購買部門の方にとっては、財務分析や信用調書の読み込みなど、日常の業務とは少し異なる作業のため、敬遠されてしまうことがあります。

しかし、与信管理業務を行うことは、本来の目的である貸倒れの防止や仕入先や外注先の管理以外にも、非常に良い影響をもたらすことがあります。

今回は、特に営業部門や購買部門の方向けに、「与信管理業務をしっかりと行った場合の効果」についてご紹介します。

与信管理業務の内容

まず、与信管理業務の内容について確認をしておきましょう。

与信管理の業務には、主に与信調査・審査(信用情報の収集、信用情報の分析)、与信判断、モニタリング、営業部門からの個別相談への対応があります。

この中で、営業部門や購買部門の方が主に関わるのは、与信調査・審査(信用情報の収集、信用情報の分析)、与信判断、モニタリングです。

与信調査・与信審査(信用情報の収集、信用情報の分析)

信用情報の収集は、外部サービスを利用する場合と自社で行う場合があります。 

外部サービスを利用する場合は、興信所(大手では東京商工リサーチ、帝国データバンク)の信用調査レポートを購入することが主な方法になります。

自社で行う場合は、登記情報、営業からの情報、業界内の風評、Web情報(HP、口コミサイトへの書き込み等)を自ら収集することになります。

次に、収集した信用情報を定性分析と定量分析の切り口で分析します。 

定性分析は、数値化できない要因を対象とし、定量分析は数値化される要因 (主に財務情報、決算書)を対象としているのが異なる点です。

与信判断

定性分析と定量分析を行った後、与信判断を行います。具体的には、与信限度額(与信枠)や与信期間(回収サイト)等の決済条件、与信限度額(与信枠)の有効期限等について様々な角度から検証し、結論を導き出します。

モニタリング

取引の開始後、日常的に取引先企業の監視を行います。モニタリングを行うことにより、その信用変動を捉える素早い対応を行うことが可能になります。

参考記事

与信管理の仕事内容(前編)【 信用情報の収集・分析 】
与信管理の仕事内容(後編)【 与信判断、モニタリング(常時信用変動の調査)、営業部門からの個別相談 】

与信管理業務を行うと得られる効果

上記の通り与信管理業務を行うと、通常の営業や購買業務では知ることのなかった取引先企業の全体像を知ることができます。

ある営業部門の担当者が特定の商材だけを取引先に対して提案していると、その商材の窓口担当者との接点は多くなるものの、その他の部門の状況はあまり知ることができません。

しかし、与信管理のために信用調書等で情報を収集し分析を行うと、取引先企業の窓口以外の事情もよく見えるようになります。

< 具体例 >
・信用調書を分析したところ、取引先の主力と思われていた事業部門は停滞しているが、新規に立ち上げた事業は急成長をしていて自社の取引拡大のチャンスがあることが判明した
・財務分析を行ったところ、損益状況が悪化しており、従来よりも値下げ要求が強くなった背景がわかった  等

取引先企業の急成長をしている事業がわかれば、自分がこれまで築いてきた人脈をたどることで新たなビジネスを作ることが可能になります。また、取引先企業の業績悪化を背景とした値下げ要求が今後も見込まれるようであれば、社内的にどこまでのディスカウントを許容するのか、条件交渉をどのように行うのか、ということについて時間をかけて事前に協議や調整をすることができます。

与信管理業務をしっかり行うことによって、取引先企業の全体像がきちんと把握できるようになります。それにより、新たなビジネスを生み出し、今後の取引先企業の出方を予測しておくことで円滑な関係を構築することができるようになります。

このような対応は、取引先企業からは「痒いところに手が届く対応」と認識され、重宝されることが多いようです。

そのためかもしれませんが、与信審査業務を行っている方からお話を伺うと、
「与信管理ができる営業担当者は、営業成績も良くお客様から評価されていることが多い。」
という発言を聞く機会が多くあります。

おわりに

与信管理業務は、特に営業担当者にとっては取引先企業の全容を知り、今後の活動に活かすための情報を蓄積できる貴重な機会とも言えます。前向きに取り組むことで仕事の質を向上させてみてはいかがでしょうか。

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