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民法(債権法)改正 < 連載第6回 >「債権譲渡に関する改正民法の内容~将来債権譲渡の明文化 他~」

民法改正(保証)

前回の記事では、債権譲渡に関する改正民法の内容として、「譲渡禁止特約の効力の変更」について取り上げました。

今回は、「将来債権譲渡の明文化」「異議をとどめない承諾制度の廃止」について、改正の概要、背景、実務上の留意点をご説明します。

※前回の記事はこちら:「債権譲渡に関する改正民法の内容~譲渡禁止特約の効力の変更~」

債権譲渡に関する民法改正の概要について(前回記事の続き)

2.将来債権譲渡について

(1)将来債権譲渡の法定

民法改正前より、将来発生する債権を現時点で譲渡する将来債権譲渡は解釈上認められていましたが(最判平成11年1月29日)、改正民法では明文で認められました(改正法466条の6)。

(2)将来債権譲渡と譲渡禁止特約について

また、民法改正前で解釈に争いのあった、将来債権譲渡後に、新たに譲渡人と債務者間で譲渡禁止特約を付けた場合の問題については、改正法では、譲受人が債務者対抗要件を具備するときまでに譲渡禁止特約が付されたときは、譲受人等がそのことを知っていたものとみなすとして、譲渡禁止特約の存在を譲受人が実際には知らなかった場合でも、債務者は常に譲渡禁止特約の存在を前提に譲受人等に対して履行拒絶をすること等を可能にしています(改正法466条の6第3項、466条3項、466条の5第1項)。

債務者対抗要件を具備する前に譲渡禁止特約が付けられた場合、改正法466条の6第3項で譲渡禁止特約について悪意とみなされる結果、譲受人は当該特約の実際の知・不知を問わず譲渡禁止特約を対抗されることになります。

債権譲渡登記を用いた債権譲渡担保では、通常は担保権実行の際に初めて債務者対抗要件を具備することになるので、譲渡担保契約書等で、担保権実行による債務者対抗要件具備時まで、譲渡人に譲渡債権に関して譲渡禁止特約を付さないように確約させる処理が必要になるものと考えられます。

他方、将来債権譲渡後、当該将来債権に債務者対抗要件が備わった後にこれに譲渡禁止特約が付けられた場合、譲受人は譲渡の時点では譲渡禁止特約について常に善意であり、重過失もないため、債務者は譲渡禁止特約を対抗できないということになります(改正法466条の6第3項参照)。

なお、譲渡禁止特約に反する債権譲渡も有効であるため、譲受人は供託請求等で債権回収を図ることになるものと考えられます(※)。」
※参照:「債権譲渡に関する改正民法の内容~譲渡禁止特約の効力の変更~」の「(2)改正内容について」

3.異議をとどめない承諾制度の廃止

(1)改正内容

改正前は、債権譲渡について異議をとどめない承諾をした場合、その時までに生じていた支払済みなどの抗弁を債務者は譲受人(解釈上、善意無過失である必要がありました。)に対抗できないとされていました(改正前民法468条1項)。

しかしながら、この異議をとどめない承諾は無留保で承諾することでもよいとされており、結果として債務者が予想外の不利益を被るおそれがありました。したがって、改正法では異議をとどめない承諾制度を廃止し(改正法468条参照)、抗弁を主張できなくなるのは、債務者が当該抗弁する権利を放棄した意思を表示した場合という一般論で判断されるとになりました。

抗弁権放棄の意思表示によることになったため、改正前とは異なり、抗弁の存在について譲受人の知・不知を問わないことになります。

(2)改正による留意点

また、抗弁権放棄の意思表示と整理されたため、改正前の異議をとどめない承諾制度と比較してその意思表示に錯誤がある等の争いが生じるおそれが高くなったと考えられます。

そのため、債務者よりどのような内容で抗弁権放棄の意思表示をして貰うのかという点を、改正前の異議をとどめない承諾制度以上に検討する必要があると考えられます。債務者から抗弁権放棄の意思表示を得られ易くなるかという点とトレードオフになるとは思われますが、「弁済、相殺、その他の抗弁権を放棄する」などと、一部抗弁の内容を具体化するということも、抗弁権放棄の意思表示に関する争いを生じにくくする工夫の一つと考えられます。

コラム筆者プロフィール

東京霞ヶ関法律事務所 弁護士 梅林 和馬 氏

早稲田大学法学部卒業、2000年弁護士登録(修習53期)
清塚・遠藤法律事務所(現東京霞ヶ関法律事務所)入所
主な取扱分野は、企業法務、債権保全・回収、倒産処理、労働事件、商事・民事事件等
第二東京弁護士会「非弁護士取締委員会」副委員長として非弁活動の取締に関与。

※次回「相殺に関する改正民法の内容~差押と相殺~」につづく

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